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ゆったりとチラシの裏を溜めておく場所



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こういうのって、後々見てみると赤面したくなる。
まぁ、載せたときは大体、とりあえず置いてみる程度なのだけど。

ということで、読めるだけの精神力がありそうな人だけ見ることをお勧めします。


.
---------------------

国へ、天皇陛下へ、お別れを誓ってからどれほどの時間が立ったのだろう。
見渡す限りの青に一筋の境界線。人々はあれを「水平線」などと呼ぶが、私にはそんな名前も必要ないように思う。ただの未知なる先だ。あそこから何が出てくるか、それだけに気を配る。つまり、光の先の暗闇と同じ。
 
海は様々な表情を見せた。
それと同様に空も…多彩に変化し、まるで人間のようだと思うようになった。
 
ただの青ではない。
そこには黄や、灰などの色が複雑に絡み合ってできた混合色がある。
そのことに気付いてからは、とても一日が楽しくなった。
それと同じくして、これを絵にしたいと心に思うようになった。
しかし、ここは戦場。
娯楽の一つ、持ち込めるはずもない。
 
――――。
 
…囚われの身だ、なんて言ったら大尉は私を切り倒すだろう。
天皇陛下へのご忠信は何処へ言ったのだ、などと言い放ち。
 
私にはわからない。
人と言う生物は、どうしてこうも愚かなのだろう。
生きている世界が違うだけで、まるで別物扱い。
動物的な言い方をすれば、縄張り争いだ!というのなら、かくもピラミッドの頂点に君臨する人間様もその辺に隠れ住んでいる動物となんら変わらないということになろう。所詮はその程度なのだ。頭脳という道具を持ちながらも、決して平和に使おうとは思わない愚かな存在。それどころか、人の上に立ち、蹴落とし、血の海へ沈める思考のため、知能は使われている。こんなばかばかしいことはない。
 
だから、というわけではないが。
私は、国の在り方が間違っていると思う。だが、それを口に出したところで愚民は、洗脳された後。洗脳を解くことがどれほど難しいか、私はそればかりを考え、大人になった。結論的には、洗脳を説くのは無理だということ。大衆の多くは、愚かである事実。一握りの賢明者の半分は、実力世界のトップを目指す陰謀者。これでは、私の意見がまかり通ることなど一生にない。あれこれ難癖をつけられ、挙句に思想が危ないと、即刻死刑にされ、歴史からも消されてしまう。
 
その程度なのだ、私は。
こうして、海を眺め、空を眺め、敵と想定された人間を見つける努力をし、発見次第消し去ろうと努力する。その間、環境や他の生物の安否など気にもせずに。さようならも、ごめんなさいも言わずに。ただ殺める理由を探すだけ。
 
 
今日の海は荒れていた。
空もまた乱れている。
その様子は、人間に憤怒したポセイドンと風神の怒りとすら思われた。
その中で、異質とも思われる大声は響く。
 
「敵偵察機発見!偵察機発見!」
 
どうやら、人間をみつけたようだ。
が、自分が捕食されるかもしれないという恐怖からか、顔は強張り緊張感が漂っている。それが、相手も同様だとするなら、何とばかばかしい。お互いがお互い恐怖のために動き、命令を下すお偉いさんは、高みの見物。
 
人々が指す指先をみると、美しいシルエットをした偵察機が飛んでいる。
広大な海と空では、あの大きな飛行機も、ちっぽけだと思った。
そう、人間が争うのと同じくらいにちっぽけだ。
 
「戦闘機、準備!」
 
煩い声だな。
張り切りすぎたその声で、僕自身のやる気はなくなっていく。
国民はどう思うのだろうか?
敵対する国の戦闘機を、戦艦を撃滅させるということに。
 
考えてみても、喜ぶとしか考えられず苦笑いする。
その戦闘機を落とすために死んだ同志もいれば、落とされて死んだ人もいる。そういった当たり前を考えることを否定する。もはや大罪だろう。人は機械ではない。機体はもちろん機械だ。機体が落ちると聞けば、人が死んだという感覚も紛らわせるかもしれない。でも、それは考えることをやめたと同意。だからこそ、大罪。
 
しかし、死ぬのは怖い。
私も所詮はその程度のカラクリ人形だな、と唇を噛む。
そして、自機である零戦に乗り込み、大空へと飛びたつ。
 
発艦!
 
その合図で、私を含む15の零戦が飛び立った。
零戦のフォルムも非常に美しい。先みた偵察機も美しかったが、やはり零戦が一番だと思う。空中に舞う鳥のようにただただ飛び回りたいと思った。
もちろん、そんな願いが叶うわけもない。
それは2つの意味で、である。
まず、燃料メーターを見ると、もって20分という程度にしか燃料は入れられていない。
もうひとつは、軍隊行動を乱すものは処刑されるという規則だ。
喧嘩の代償で止められた石油。
必死に返してもらいたいと実力行使する様は、滑稽である。
が、こうして飛ぶことができなくなると、翼をもがれる思いを抱いた。
人間の争いが終わった時、鳥のように空を舞いたい。切実に思う。
 
 
「「敵空母発見!」」
「「護衛艦数名も同伴!」」
 
その光景は、威厳。
人間の作りだした物でも、無二の美しさを誇ると思う。
私は、あの空母の、護衛艦の名前を知らないが、きっと偉大なる神様の名前がつけられているに違いないと思った。そして、彼らはついに、私たちへ罰を持ってきたとも感じた。
 
藪から蛇が飛び出してきた。そのような諺がある。
蛇は威嚇をするために飛んだのではなく、鬱陶しい棒をなくすため、破壊するために飛びかかってきたのだ。そして、飛び出た先でそれを操る人がいる。だから、棒を破壊すること=人を倒すことになる。
 
今と同じ。
彼らがみすみす見逃すなんて、とてもじゃないが思えない。
戦闘機は邪魔なのだが、それを操る人を倒せば、戦闘機はもう飛ばない。
 
戦えば、結果は一目瞭然だろう。ただの軽空母1隻に積まれた戦闘機が、正規空母と護衛艦数隻を倒せるわけがない。まだ飛び立ってはいないようだが、戦闘機も30機は飛び立ってくることだろう。
 
「「一時退散しましょう!」」
「「無理だ、逃げてもやられる!」」
 
無線は動揺と諦め、勇猛でめちゃくちゃだ。
 
「「全機に次ぐ。」」
その声で、すべてが静寂へと帰す。隊長の一声で、この後どうするかが決まる。
もちろん、もはや死ぬ以外の選択肢はないと思うが。
 
「「できるだけ多くの敵機を撃墜する。…みな、靖国で会おう。」」
皆、予測していたのだろう。特に喚いたりはしない。ただただ、天皇陛下へ、国へ、愛おしい人へ黙祷を捧げるように、無線は静かだった。
 
そして、敵の戦闘機は飛び立ってきた。
数にして50はあるだろうか?わからない。ただ一つ言えるのは、ここで私は人を殺めざるを得ないかもしれない、殺められるかもしれない、ということだった。
 
飛び立った戦闘機は、躊躇もなくこちらに発砲する。
被弾を逃れた私は、もはや周りに気を配る神経すらも残っていない。
レバーを倒し、加速し、右に、左に曲げ、後ろを取られないように逃げる。
逃げているように思わせて、敵の背後に付き、トリガーを引く。
戦闘機から4,5発の弾丸が飛び去り、前方の戦闘機に黒煙を上がらせる。
落ち行く戦闘機を追うこともなく、次の敵を探し、やっぱり背後を取られぬよう旋回する。それだけ。
 
 
命を張ると言うのはかっこいいことだろうか。
命を守るために命をかけるのはとてもかっこいいことだと思う。それは、弱者を守るのと同じである。だとするならば、今の私たちは、国に住む「弱者」であり、「愚民」を守るためにこうして敵を撃ち落としていくのだろうか?
 
なんだか、理屈に合わないな、と思う。
 
騒ぎ立てていた無線は、聞き取りやすくなった。
それとほぼ同時に、空中を旋回する影も少なくなってきた。
余裕が出てきた私は、ちらっと敵艦隊を見る。
落ちた戦闘機がぶつかったのか、ひどく燃え盛っている。
当たり所をみると、必然性が窺えるその光景は、嫌でも「それ」を理解せざるを得なかった。
 
命をかける彼らの生き様は確かに美しいかもしれない。
しかし、人間同士が争うのはどうもおかしい。
彼らの死を無駄にする権力者を決して許す気もなかった。
私の後ろについて離れない敵戦闘機のパイロットもただのコマとして、こうして戦闘機を落とす。相手に家族がいるとか、そういうのは考えない。考える必要もない。生まれ変わったら、権力者になろうと思った。もちろん、悪い意味ではない。腐りきった権力者を一掃するという正義紛いの気持ちがそう思わせた。たったそれだけのことだ。
 
「「皆、靖国で会おう。」」
 
また一人落ちていった。
空で霧揉みし、一気に落ちていった。
 
ゴゴッ
ひどい音と揺れの後、バランスを保てなくなる。
翼からは、大きな黒煙が黙々と発生している。
レバーを常に動かしていないとバランスが取れない。
最期を悟った私は、小さく舌打ちをした。
後ろのパイロットは今、喜んでいるのだろうか?
それとも、これで死亡が確定した異国のパイロットに情けをかけるのだろうか?
 
いずれにせよ、それを判断する術はない。
私はたくさんの人を殺めた。だから、こうして死ぬことも仕方がないことだ。
愛しい人を国へ残したまま逝ってしまうのは少々心苦しいが…どうしようもない。
 
「被弾。もはや助からない。後は頼んだ。」
 
今日初めて無線を使った。
よもや誰が残っているかなど確かめようもない。
天上を眺めても、もう飛び回る戦闘機は数えるほどしかいない。
しかし、どれも遠くて見分けがつかない。
ただ、零戦の美しいフォルムが数機残っているのは確かだ。
 
隊長たちは、こうして敵艦隊に特攻していったのかもしれない。
勇ましい男たちだ。そして可哀想な男たちだ。
 
“水平線“を見ると太陽が沈みかけていて、下の方がオレンジに染まっている。
美しいな、と思った。そして、絵におさめたいと思った。
レバーを全力で押すと、機体は海めがけて急降下する。
さすがに落ちたと思ったのか、自機が黒煙を出してからもぴったり後ろについていた戦闘機は、機体の間隔をあけ、慈悲を込めた最後の弾丸を放った。
 
「残念だけど、一人で死なせてもらうぜ。」
 
レバーを左右に振ると、機体はいまだ生きているかのように、弾丸を避ける。
あの距離で放たれた弾丸を避けられるとは思っていなかったが、どうにか一人で死ねそうだと安堵する。レバーを引く。反応はない。どうやら、エンジン部分は完全に破壊されたようだ。
 
権力者のコマとして扱われるものの結末とは、このぐらいどうでもいいのだ。
やりたくないことをやり、そして気付けば終わっている。
また、信念と言うのも脆いものだ。
撃ち落とさないと決めていても、撃ち落とした私。
悪いとは思えども、「何か」には負けてしまうのが人間の性。どうしようもない。
 
近づく海の色は、とても深い群青だった。
生まれ変わることができれば…そう、戦争がない世界がいい。
愛しい人とただ平凡に過ごせる、美しい世界が。
そこで私は、平和に国を治めていきたい。
 
 
(4304文字)


-----追記-----------
 人民は操り人形であり、政府は傀儡子である。
 そんな風に友人が言っていた。
 面白い発想だなーと思って、なんとなーくそういうことを
 伝えようと、文章化していたらできちゃった、というもの。
 稚拙だなー、やっぱり。
 絵も文章もゲームも微妙で、勉強も運動も微妙…
 なんだ、いいところひとつもないじゃないか…

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