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ゆったりとチラシの裏を溜めておく場所



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僕は自分で言うのもなんだが、自分を優柔不断と理解している。
あるいは、人嫌いだとか内気だとか人見知りだとか、言いたい放題に吐きつける人もいる。

しかし、それは違う。

人を知っているからこそ、警戒する んだ。
変な人間は、実際のところ多い。
ストレスをプレゼントしてくれるサンタを徹底的に排除する魔法は踏み込まれないこと。
最も効果があるのは、距離をとる行動。
理論武装なんて 大層な武装は持てない人間だ。
ならば、不浄な手が、矢が、弾が当たらない距離を作ればいい。

だからこそ、優柔不断に見せつけて、オロオロして、距離を取る。
そしてじっと観察している。
こいつは信用に値する存在か、と。


.


 一人の少年がこちらに歩いてくる。名前は思い出せない。一度何処かで見た覚えはあるのだが、それすらも思い出せない。ただ向こうの笑みを見る限り、知り合いなのだろう。足を止めると同時に、トリガーを引いた銃のように唐突に喋りだした。
「どうしてまた、そんな古い服を着ているんだ?」
 あまりに直球な表現に内心傷つきながらも、意味を考える。まさか古く見えたのだろうか。そうは言っても昨日買ったばかりの服であるし、古く見えるわけがない。だから、明確に意思を伝える。
「この服が古いというのは見当違いだよ。昨日買ったばかりだからね。」
 すると少年は嘲笑するかのように口の端をあげ、馬鹿にした口調で返す。
「見た目じゃない。どうしてまた、流行遅れの、古い服なんて着ているんだ?」
 なんとなく言いたいことが伝わった。古いとは時代に対して向けられたようだ。とは言え、だからどうしたというのが本心だった。流行を追うのがそれほど重要だと僕は思わない。そもそも流行とは何なのか。よく考えてほしい。流行とはつまり皆が手に取っている状態を差す。それは要するに皆と同じということに他ならない。わざわざ個性を潰す行為に何の価値があるのかさっぱりわからなかった。
「これが着たいからだよ。」
 明らかに見下した態度を取る少年。表情もまるで愚かな生物を見るものだ。馬鹿にされていると頭でも理解していたが悔しいと感じることはなかった。むしろ、こいつアホなんじゃないか?とすら思い、同時に哀れに思う。ただその意志をオウム返ししてやりたいだけだった。
「流行を知らないなんて馬鹿だね。」
 面と向かって言う必要を感じない。が、投げかけれらた言葉を肯定するのは気が引けたので、皮肉でもって返礼することにした。
「よくもまぁ、集団ペアルックができるものだと僕は感心するけどね。」
「負け犬の遠吠えか?」
 ああ言えばこういう。典型的な批評家型人間をだった。
「自分の意見を述べただけだよ。そう聞こえるならそうかもしれないね。」
 あまりに不毛なやりとりに辟易し、少年との会話をやめる。何も生まない議論ほど意味のないものはない。疲れるだけ疲れて終わるのだ。よっぽど、惰眠を貪ったほうが精神衛生的にもよろしいというものだ。だが、少年はどうにもおさまらないようで、言葉を投げかける。
「はっ、流行を読めない言い訳か?」
 あんまりな言葉にため息をつく。
「それでいいよ。」
「最初っからそうやって認めればいいんだよ、少年。」
 まるで鬼の首を取った言い方だったが、呆れて怒る気力も起こらない。まるで子どもと相手をしているような錯覚を受けるが、これで同い年と言うのだから笑えてしまう。侮蔑する。同時に自己嫌悪に陥る。
「それで?」
「それ、とは?」
「君はいったい何が言いたかったの?」
「別に?」
 特に用事も理由もなければ、わざわざ話をかけてこなくてもいいのに。第一、話をするつもりなら、どうしてまた喧嘩をかけてくるのだろう。本当に頭を悩ます。この人はいったいなんなんだ。同じ生命体とすら思えなくなってくる。
「ああ、そうなんだ。」
「変な奴。」
 よっぽどお前の方が変だと言ってやりたかったが、グッとそれを抑える。不健康なのはよくない。もう関わりたくないというのが本音だ。
「よく言われるよ。底辺人間だってね。」
「ふぅん?」
「とにかく、流行については意識することにするよ。」
「そうしたほうがいい。」
 ようやく災難が去っていき、ホッと息を吐く。あんな風にはなりたくないものだと一人ゴチるも、結局無駄なストレスが溜まっただけだった。
「流行、ねぇ…。」
 流行の情報元は何処だと言えば、有名な企業が作り出した新作だとか、有名なあの人が纏っていたからだとか、そんなのをメディアに乗せて伝えているだけだ。メディアに乗せると言うのは宣伝していると言う意味であり、宣伝されている品は良く売れる。だからこそ、卸業者が品を購入し、あらゆるところに卸す。さすれば、あとは買いやすい空間が出来、一人、一人と買い始める。結果的に、多くの人が買うことになり、それが流行となる。つまるところ流行は作り出されている現象だと言いたいのだ。バレンタインデーと同じだ。習慣化させてしまい、抵抗を失くしているだけの無意味な購買意識を煽る行為。たかがそんなこと。それの何処が偉くて、それを振りかざす力があるのだろうか。
 意志を失くした先には何があるか。そこにあるのは絶望でも、後悔でも、ましてや幸福でもない。何もないのだ。そこには自分と言う「個」すらない。ただただ暗く、辛うじて自分が動くのだと理解できるだけだ。そして、よく見れば銀色の糸があらゆるところから生えており、それは須らく上に引っ張られており、一本の木に括られている。操り人形。傀儡。そんなお先真っ暗な道を誇って歩いていることを考えなければいけない。今の人には、それが欠けていると僕は思った。

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