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ゆったりとチラシの裏を溜めておく場所



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久々に「新しい」夢を見た。
夢というのは深層心理などでは自分を表す鏡だとか言う。
要するに登場人物のすべては自分であり、そこに象られる誰かは
自分の持つコンプレックス、あるいは、明確な意志であるらしい。
夢で例えば、親友を銃で殺す夢を見たとする。
多くの人は、「俺は親友を殺したいのか?」と考える。
しかし、それは違うと言うわけだ。
俺は現時点の自分であり、親友は自分の持つ何かだ。
例えば、親友はどんな人間にも好かれる人間ならば、
自分の社交性やコミュニケーション能力が親友に当たる。

銃は明確な殺害の意志。
つまり、「俺は俺の持つ社交性に不満を持つ。いっそないほうがいい。」
そんなところだろうか。
だが、それだけではない。
夢は忘れやすい。
それにもかかわらず頭に残る夢がある。
何故か。
俺は、自分にとって大切な何かが残っているからだと考えている。
だから、こうして書き示す。

(※流れは夢同様ですが、あらゆる部分に脚色があります。)

.


 夢の始まりは、大運動会が始まるその日の朝からだ。
目が覚めると、何処か霞むような太陽と不規則な流れを持つ雲が空にある。
ちょうど薄い雲に太陽が隠れているからだろう。そこから見える太陽を目視するのに
問題はなかった。
 ボーっとする頭を覚醒していくと、学校に行かなくちゃいけない気が起きる。
沈んでいた意識を浮上させ、そのまま服を着替える。黒い鎧のような服。
義務のように身につけて、小さなリュックサックを背負う。その格好は何処からどう見ても
ただの中学生だ。短く無造作に伸びる髪。上から下まで黒一色の学生服。靴下も黒。
あまり外出しない性質であるため、肌は白い。自分で言うのは可笑しいと思うが、
そこいらの女性よりもずっと白いと断言できる。それはそうだ。俺は外が嫌いだから。
小学生までは外で活動することも多かったが、中学生になるとそれもメッキリなくなった。
おかげさまでお天道様と対峙するのは通学の時だけ。その通学でさえも地下鉄やバスによって
日を遮ること然り。その結果はご覧の白さだ。何が言いたいかと言うと、この白さが
学生服の黒と対立し、目立つ。女の子に「綺麗な男の子だね」なんて言われたのは伊達ではない。
 余計な思考をしていた。頭を二度ほど振り意識を変える。今は学校へ行かなくては。
携帯を開くと大きく8:00と表示されている。ギリギリ間に合う。安堵すると、そのまま
玄関に赴くと真っ白な運動靴に足を通す。
「いってきます。」
 誰も答えてはくれない。意味はない。でも、俺はこの言葉が好きなだけだから。
 扉をあけるとひんやりと冷たい風が吹きつける。冬は嫌いだ。寒いのが嫌いだから。
だけど、空気はシンとしてずっと吸いやすく、空はずっと澄んでいて、それを眼前に
見せつけられては冬もいいかな、なんて思ってしまう。水を掬うように手を合わせ、
そこに向けて息を吐く。白いモヤが現れると同時に温かさを感じる。
「物語のヒロインか、俺は。」
 苦笑い。もう一度携帯を開くと5分ほど時間が進んでいる。もうこれは遅刻だな。
再び苦笑いして、ようやく扉から一歩足を踏み出した。

++

 懐かしいと思ったのは何故だろう。疑問が浮かんでは沈んでいく。どれも取り留めもなく
気にすることもない。耳が痛い。今の自分にとって最重要問題事項は、それだけだった。
「おはよーさん。」
 見たことのない人がいた。学生服を着ているのだから、ここの生徒であるのは間違いない。
それにしたって、ここまで気軽に声をかけてくれる友人など居ただろうか。コクリと首を傾げると
こちらの考えていることを感じ取ったのか呆れた顔をする。
「おいおい、親友の名前を忘れたのかよ。」
「あー、その、なんだ。すまん。」
「ま、いいさ。」
 そう言って、自分の横に付く。名前は思い出せないが、嫌いじゃない人だ。
俺にとってすべての尺度は自分自身だ。誰かの言葉を信じられるほど馬鹿でもなければ、
誰かの言葉を信じないほど愚かでもない。だからだろう。気付けば、雰囲気で物事を
把握するのが普通だった。そのセンサーによれば、この男は信じられるらしい。ならば、
それに従うまでだった。
「運動会とは言え、こんな寒いとやる気も起きないよな。」
「そもそも”運動会”という響きが嫌だな。」
 体育大会じゃないのだろうかという疑問が浮かぶも、意味は同じだと思考を沈黙させる。
「そんなこと言ってると負けるぜ。」
「やけに熱いな。」
「何言ってんだよ。勝負事は勝った方がいいに決まってるだろう?」
「さあな。」
「枯れてんな、お前は。」
 彼は、ジト目をこちらに向ける。あんまりな言い草にグサリと心に突き刺さる。
「理解してないんだよ。楽しいってのを。」
 実際に俺は色々なことに懐疑的だった。楽しいと言う感情もその一つだ。楽しいというのは
どういった状態を差すのだろう。ゲームをやっている時、ワクワクする。あれが”楽しい”ならば、
残念ながら現実世界でそれを体験したことはない。最もゲームも楽しいだけではない。
気付けば”没頭”しているのだから、楽しいという感情は表に出ていないだろう。
 世間でそれを聞けば、笑っている時が楽しい時という戯言を宛も当然だと風潮される。
何を言っているんだと言いたい。嘲笑。苦笑。微笑。どれにも楽しいという感情は隠れていない。
蔑み。呆れ。安心。どれもこれも”楽しく”ない。ならば楽しいとはなんだ。哲学が頭を
掻き毟っている。
「何でも真剣にやっていればいいんだよ。そうすりゃ、楽しいってのもわかるさ。」
 彼はニヤリとしながら、そんなことを言う。非論理的である。だが、それこそが自分自身で
導き出した答えだった。
「かもな。」
 僕もニヤリとしながら言った。

++

 運動会は卒がなく終わった。結果は記憶にない。きっとその程度だった、ということだ。
手に持ったグラスを傾けると、甘い液体が喉に流れてくる。ちらりと横に目をやれば、
ワイワイと騒ぐ生徒たちがいた。何故この場にいたのかも覚えていないが、彼らの様子を
見る限り、こちらのチームは勝ったのだろう。
「ん…。」
 人の気配を感じ、後ろを向く。そこには3人の男女がいた。こちらを見ているのは面識が
あるからだろうか。相手の出方を窺っていると、その中の一人がこちらに声をかける。
「元気だった?」
 金髪の髪を腰まで伸ばした女の子だ。まるで二次元から出てきたみたいだ。幼顔で、
小学生で通りそうなほど背は低い。鋭い目元が、所謂お嬢様キャラそのものである。
声はイマイチ思い出せない。ただ意味は覚えているので問題はないだろう。
「それなりにね。」
 それを合図にしていたかのように、控えていた二人も前に出てくる。
「やっほー」
「お疲れさん」
 元気そうな女の子と登校時にあった例の男だった。どちらも活発そうな雰囲気を
纏っており、何より今回の勝利を喜んでいた。表現するなら、燃え盛る火のようだ。
「あんまり楽しんでいないみたいだけど?」
「そんなことはないよ。」
「いいや、楽しんでいないね。そんなクールに決めてたってつまんないよ?」
 追撃を掛けられた。だが、クールに決めているわけじゃない。楽しみ方がわからないだけ
なのだから。何故彼ら彼女らは、あんなにも楽しめるのだろうか。羨ましいことこの上ない。
「はは、そんなんじゃないよ。」
 だけども、そんな内なる思考を読まれないように上手に嘘をつく。嘘をつくのは楽だ。
必死になって理論武装したり、感情を爆発させて波状攻撃するよりもずっと簡単。
嘘がバレたって構いはしない。どうせ本心など何処にもないのだ。”ない”ものを”ある”と
偽るほうがよっぽど痛い。
「そう? とにかく今日は楽しみなさいよ!」
 それだけ言うと他のグループのところへ行ってしまった。どうやら彼女とは親友ではなく
友人らしい。情報を上書きしていると、横から声がかかる。
「どうした?」
「…今日は疲れたなと思ってね。」
 男に返答する。目が合う。初めて気付いたが、かなりの美丈夫だ。記憶をサルベージするも
やはり記憶にはない。美人・美丈夫を呆気なく忘れてしまうほど、枯れていないと思ったが
それもどうやら訂正の余地があるらしい。
「何にもしてないのに、かよ」
 呆れたように言う。どうやら自分は何も活躍していないらしい。そもそも記憶にないのだから
出場したかも怪しい。どうでもいいことは忘れる性質というのも楽ではない。
「人と接するのは疲れるからね。」
「やっぱり枯れてるな。」
「かもな。」
 ま、楽しめよー、と言い残し、彼は立ち去っていく。色々な人間から声を掛けられている
のだから、かなり慕われているのだろう。こつんと何が腕にあたる。何かと目線を動かせば
金髪少女が呼んでいた。
「何かな?」
「いや、何でもないよ。ところでなんでそんなに溜息をついているの?」
 その言葉にドキリとする。意識は理解できない。溜息をついていた覚えなどない。
しかし、頭は敏感に反応する。まるでその言葉は禁句だろうと言わんばかりに。
顔が熱い。この感情は、恥ずかしいのか。それとも怒っているのか。緊張しているのか。
わからない。いや、今はそんなことどうでもいいのだ。
「ごめんね。自分でも気付いてなかったよ。」
 心臓がドクドクと音を鳴らす。自分の感情が読めないというのは不便だ。読めないのは
制御もできないということ。顔が赤くなり、心臓が跳ねているという事実を受け入れるしかない。
断りたくても拒みたくても。だから分析するしかない。
「いや、いいよ。でも――」
 息がとまる。突然の発作に近い。目の前の人間が放つ声も聞こえない。
喧騒もまるで聞こえない。自分だけ空間を隔絶されたみたい。しかし、どうしてだ。
怖くない。それどころか清々しい。息ができない。だから苦しい。音が聞こえない。
だから怖い。自分だけが異物のような感覚。だから寂しい。なのに、すべてを許容した上で
気が楽になっていく。
「―――――――、聞いてる?」
「…え、あ、うん。」
 二酸化炭素の多い空気が鼻から肺に侵入する。同時にすべてが元通りになる。
行き詰った場所から解放されたかのように、新しい道が見えたかのように。
はぁ。一つ、溜息を吐いた。先ほどの甘美な感覚を思い出そうとした。
だが、それに答えたのは別の刺激。
「…え?」
 頭が痛い。微かに視界に入ったものを整理する。それは間違いなく腕だった。
腕を振るえるほど近くにいるのは一人だけだ。疑いを持ってそちらをみる。
そこには誰もいない。思考が止まる。そして、再び刺激が走った。


+++

 目が覚めた。変な夢だった。
過去見てきたどの夢にも属さないもので、どちらかと言えば過去を鑑みる夢。
手に握られた携帯電話を開くと、大きな文字で7:24と表示されている。
夢を見た要因はいくらである。だからこそ、納得した。場所も、人も、出来事も。
すべて自分の思考から作られているんだ。なんとなくだが、気分がよくなる。
それは謎が解けた探偵がみんなの前に聴かせてやりたいと思う感情に似ている。
「ま、どうでもいいことか。」
 服を着替え、誰もいない家から煩い外へと出かける。
今日の朝は格別に冷えるな。そんなことを思いながら、大学への道のりを歩きだした。

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424
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誕生日:
1600/08/29
職業:
大学生
趣味:
読書/ゲーム/絵描き/PC事
自己紹介:

オンゲ在住。
キャラクター名には必ず「ミル」が入る。(例:ミル☆隊長)

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